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ファミリー向けBDレコーダー?「SONY BDZ-L70」

SONY BDZ-L70
ミドルレンジのSONY BDZ-L70。写真では分かりにくいが、前面は黒で天板はガンメタ色。

 3月末のとある日、某大型電気店のタイムセールで前から気になっていた矢沢のブルーレイが叩き売られていた。決算時期とは言え、春の新モデル追加の噂もあって、多少賭けではあったが、最安レベルの価格を前にして、定められた運命に抗うことはできないと悟った。

矢沢のブルーレイラインナップ

 買ったのはハンディカムからワンタッチで映像を取り込めるBDZ-L70。我が家では年々溜まるハンディカムのDVテープが問題となっていた。PCでDV取り込み環境を整えた時期もあったが、面倒くさくて撮りっぱなし。ラベルすら貼らず、再生するまで中身も分からない状況だった。うちのハンディカムは”ハイビジョン”ではないハンディカムなので、本当はDVDレコーダーで事足りるような気もするが、地デジやBSデジもきれいに録画したいし、今後のことを考えればやはりBDということで、BDZ-L70を選ぶには十分な理由があった。と言うか作った。東芝RD-H1のネットdeナビ&モニタを手放せない身としては、RoomLink(DNLAサーバ)機能も重要なポイントだ。ちなみに上位のBDZ-X90にも、HDV/DV入力(ワンタッチボタンはない)とDNLAサーバ機能はあるが、BDZ-X90はタイムセール対象になっておらず、価格差がかなりあったので無視した。

 購入して数週間後、やはり新モデルの発表があった。発表されたのは基本モデルのBDZ-T70のHDDを増量したBDZ-T90と、BDZ-L70にPSPやWalkmanへの動画転送機能を付けたようなBDZ-A70である。幸か不幸か、2機種とも基本機能に変更はなく、ラインナップの追加という形になっており、既存モデルの大幅な値崩れはないと思われる。

機能比較表(赤いセルが差異部分)
主な機能
BDZ-T50
BDZ-T70
BDZ-T90
BDZ-L70
BDZ-A70
BDZ-X90
HDD容量
250GB
320GB
500GB
320GB
320GB
500GB
2層BD
MPEG-4 AVC録画(H.264)
AVCREC(DVDにH.264録画)
×
×
×
×
×
×
2番組同時録画
×
x-おまかせ・まる録
おまかせチャプター
1125i/750pアップスケーリング
1125p(1080p)出力
×
×
×
×
×
DLNAサーバ
×
×
×
おでかけ転送(PSP)
×
×
×
×
おでかけ転送(WALKMAN・携帯)
×
×
×
×
×
HDV/DV入力
×
×
×
ダビング10対応(予定)
前面
シンプルな前面パネル。
背面
うれしくなるほど端子がいっぱいの背面。ファンが2個付いているけど静かです。

BDと録画モード

ブルーレイディスク
BDが活躍するのはいつの日か。

 今どき1TBのHDDが2万円台で買えるというのに、SONYのラインナップは最高でも500GBである。未だRD-H1の250GBでやり繰りしているわが家でも、320GBでハイビジョンをやり繰りするのが厳しいであろうことは想像に難くない。とは言え、シャープのBD-AV10のようにHDDなしのBDレコーダーもあるくらいだから、BDに焼くまでの一時保管・選別場所と考えれば、何とかなるものなのかも知れない。

録画モードと保存時間(単位:時間)
録画モード コーデック
BDZ-*90
500GB
BDZ-*70
320GB
BDZ-T50
250GB
BD2層
50GB
BD1層
25GB
DR(BSデジタルHD) MPEG-2 TS 24M
44
28
21
4
2
DR(地上デジタルHD) MPEG-2 TS 17M
62
39
30
6
3
DR(SD) MPEG-2 TS 12M
96
61
46
9
5
XR MPEG-4 AVC 15M
65
41
31
6
3
XSR MPEG-4 AVC 12M
83
52
40
8
4
SR MPEG-4 AVC 8M
124
78
60
12
6
LSR MPEG-4 AVC 6M
166
105
80
16
8
LR MPEG-4 AVC 4M
249
157
121
24
12
ER MPEG-4 AVC 2M
499
315
242
49
24

 録画モードは7種類。放送そのままのDR以外はMPEG-4 AVC(H.264)方式である。MPEG-4 AVCはかなり優秀な印象で、ハイビジョン録画で最低ラインに位置するLSRであっても、あまり劣化が気にならない。2層BDに16時間入るのも魅力だ。もっとも、普通のDVDがMPEG-2の4.5Mbpsぐらいだから、DVDよりきれいなはずである。昔のテレビ番組であればERで十分である。ついでに言うと、普通のVideoCDがMPEG1の1.5Mbpsぐらいだから、VHS標準レベルと言われたVideoCDよりはるかにきれいなはずである。

 圧縮効率の良いMPEG-4 AVCを中心とするのは道理なのだが、実はこれにより、2番組同時録画とRoomLinkが少々ややこしくなっている。2番組同時録画では、ユーザが録画1・録画2という2つの系統を意識する必要があるのだが、録画2ではDRでしか録画できないという密かに大きな制約があり、録画時間のバッティングや、録画1作動中の操作で残念なことになることがある。そのため、すぐ消しそうな番組は、録画2のDRで録画するのが安全かもしれない。ということで、我が家では「世界遺産」など最高画質で残したいものとすぐ消しそうな番組はDR、「電車男」(ハイビジョン)などシリーズでBD保存したくなるかも知れない番組はLSR、「宇宙大作戦」など昔の番組でBD保存したくなるかも知れない番組はERとしている。RoomLinkの問題については、後述。

HDV/DV入力

 BDZ-L70の最大の特徴であるワンタッチダビングボタン。”ハイビジョン”ハンディカムからの高速ダビングが強調されているが、うちの無印ハンディカムDCR-TRV20からも、等速ではあるが、特に問題なく取り込むことが出来た。

ワンタッチダビング
i.LINKケーブルを繋ぐとボタンが白く点灯。
押すと赤く光ります。
 i.LINKケーブルでハンディカムを繋ぎ、ボタンを押すだけで、勝手にテープを巻き戻して取り込み始める。取り込んだ映像は自動的にタイムスタンプでプレイリスト化されるので、ラベルのないDVテープを適当に取り込んでも、名前でソートすれば時系列に並ぶ。DV端子を持つBDZ-A70やBDZ-X90も機能的は同じはずだが、ワンタッチで一連の作業が行えるというのは想像以上に快適である。
ワンタッチダビング
どんどん入ります。

DLNA(RoomLink)

 密かに重視していたのがこのDLNAサーバ機能である。DLNAというのは、ホームネットワーク上で動画や音楽を簡単に共有するためのガイドライン(を作った団体名)だが、SONYではDLNA以前から、VAIOからの動画配信先専用クライアントをRoomLinkと呼んでおり、現在もこの名前が生きている。今や、SONYのBRAVIAや東芝のREGZAなどにさり気なくDLNAクライアント機能が搭載され、インフラは着々と整いつつあるのだが、いろいろ制約があって、今一つ盛り上がっていない。うちでも、PCのWindows Media Player11をサーバにしてBRAVIAからデジカメで撮った写真にアクセスしているが、動画は表示されたりされなかったりで使い物にならない。しかし、さすが同一メーカーだけあって、BDZ-L70に対しては簡単な設定ですぐ動画にアクセスができた。
サーバー機能
なぜかビビらされるが気にしない。
スタンバイモード
DLNAサーバー機能をONにすると、高速起動というレム睡眠モードになる。
BRAVIAメニュー1
BRAVIAのメニューにBDZ-L70が現れる。下はWindows PC。
BRAVIAメニュー2
DRモードで録った番組だけしかアクセスできない。
 ところが、ここにも制約があって、BRAVIAからMPEG-4 AVCのモード、つまりDR以外のモードで録画した動画にアクセスできない。これはBRAVIAのDLNAクライアントがMPEG-4 AVCの再生に対応していないことが原因のようだ。 DLNAクライアントにはBRAVIAの他にもVAIOやPS3、PC用ソフトなどそこそこあるが、著作権保護規格であるDTCP-IPの影響もあって、対応状況は惨憺たるものである。現時点での唯一の希望はバッファローのLT-H90だけのようだ。こちらについては、また後日試してみたいと思う。
録画ソースと対応クライアント
録画ソース(モード)
DTCP-IP
VAIO
デジタル放送(DR)
×
×
デジタル放送(XR-ER)
×
×
×
×
HDV入力(DR)
不要
×
×
アナログ放送・外部入力(XR-ER)
不要
×
×
×
※VAIO Media Ver.5.0以降+デジタル放送プラグイン。
VAIO Media plusは5月のバージョンアップでMPEG-4 AVC対応するらしい。
DLNA配信中1 DLNA配信中2
矢印マークがDLNA配信中の証。
電源OFF時でもアクセスされるとこのマークが。

SONY BDZ-L70
Sony Style価格:168,000円(税込)

(2008/4/24)

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