元祖3Dゲーム機「任天堂 バーチャルボーイ」

1995年夏、任天堂からバーチャルボーイが発売された。前年の1994年、ソニーから初代プレイステーション、セガからセガサターンが発売され、ホリゴンがグリグリ動く「次世代ゲーム機」の覇権争いの真っ最中であった。当時、任天堂はその争いに乗り遅れながらも、CGワークステーションのSGIと組んでウルトラ64(後のNINTENDO64)の開発中であったため、バーチャルボーイをスーパーファミコンとウルトラ64の「つなぎ」と見る向きもあるが、モニター一体型で乾電池駆動であることやそのネーミングから、もう一つの譜系「ゲームボーイ」の流れを汲むゲーム機と言える。

VIRTUAL BOY
早過ぎた3D、伝説のゲーム機バーチャルボーイ。

最大の特長はその3D映像。ゴーグルの中にある2本のLEDの棒が、それぞれの目に異なった映像を作り出す。ゴーグルを覗くと、外界から遮断された無限の闇の中に赤い光の3D映像が浮かび上がり、いつの間にか自分がその中に入り込んでいるような独特のトリップ感覚を味わうことが出来る。

バーチャルボーイは家庭に本格的な3D映像を持ち込んだ画期的なハードウェアだった・・・はずだが、市場の反応は芳しくなかった。3Dとは言え、2Dメディアを通した赤と黒の映像は他の次世代ゲーム機と比べるとあまりに地味で、任天堂の新型ゲーム機に期待していた多くの人々を落胆させた。プレイ中ずっと姿勢が固定されることや、プレイヤー以外に画面が見えないこともマイナスとなった。発売後も特に盛り上がりを見せることなく、早々に叩き売られて店頭から消えてしまった。出荷台数は任天堂の目標300万台/年を大きく下回る126万台にとどまり、商業的には失敗作とされた。

かのスティーブン・スピルバーグが開発者の横井軍平氏に「すごいマシンだが、カラーだったらもっといい。」と言ったという。スピルバーグにしては平凡なこのコメントが全てを物語っていた。しかし、その15年後、任天堂はバーチャルボーイの問題点を課題を解決し、ゲームボーイの流れを汲む3Dゲーム機を再度世に送り込むことになるのである。

ディテールチェック

本体 コントローラー
スタンド式になったのはゴーグルが重過ぎたため? 左右に十字キー。背面にR、Lボタンがあります。
ディスプレイ
ゴーグルを除くとそこは別世界。このトリップ感覚は3DSでも味わえない!?
本体底面
カートリッジは前から差し込みます。
コントローラ 電池ボックス
コントローラのこの厚みは・・・。 こんなところに電池ボックスが。単3電池6本はちょっと重い。
ACアダプタタップ装着 ゲームカートリッジ
別売りのACアダプタタップを付けるとファミコンやスーパーファミコンのAC電源が使えます。でも電源ケーブルがちょっと邪魔。 ゲームカートリッジには端子カバーが付属。 端子カバーは本体上面の出っ張りにセット可能。

ゲームタイトル

発売されたソフトは全部で19本。このうち貴重な6本をご紹介。
マリオズテニス ギャラクティックピンボール

任天堂:マリオズテニス

水平に近い視点なのでかなり立体感あり。任天堂のタイトルとしてはやや地味。

任天堂:ギャラクティックピンボール

台の前後がにぎやか。シンプルだけどハマらなくもない。
レッドアラーム T&E ヴァーチャルゴルフ

T&E SOFT:レッドアラーム

ATARIのスターウォーズやPC88のJELDAを彷彿とさせるワイヤフレーム。バーチャルボーイの3Dをフルに生かした傑作。

T&E SOFT:T&E ヴァーチャルゴルフ

しっかりポリゴン計算する本格派。グリーンがレッドなのが残念。
バーチャルプロ野球'95 V-テトリス

コトブキシステム:バーチャルプロ野球'95

ファミスタっぽいパッケージで胡散臭さ炸裂だけど、選手は実名。

BPS:V-テトリス

3Dテトリスではなく普通のテトリス。フィールドが背景から浮かんでいるだけで、3Dを生かせていなかった。

任天堂「バーチャルボーイ」
希望小売価格:15,000円
発売日:1995年7月21日
型名:VUE-001
使用電源:単3形アルカリ乾電池LR6(AA)6本
消費電力:約2W
本体寸法:幅約266mm・奥行き約127mm・高さ約127mm
重量:約880g(本体のみ)

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