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"Shadow Of Northwood : Pentium4 1.6A"

 A long time ago in a PC far, far away.... Slot1での登場以来、絶えずオーバークロックを楽しませてくれたCeleronも、Tualatinコアが出る頃にはPentium4対Athlonの激しい戦いの場からすっかり遠ざかっていた。そこで、期待を受けて登場したPentium4アーキテクチャのSocket478版Celeron1.7であったが、オーバークロックの期待できない旧世代のWillametteコアであったため、みんなそっぽを向いてしまったのだった・・・。

 そんな中、密かに注目を集めていたのがPentium4 1.6Aと845Eチップセットの組み合わせだ。NorthwoodコアのPentium4 1.6Aは以前よりオーバークロック耐性が強いことが報告されていたが、これまでの845D(B-Step)チップセットはFSB400にしか対応しておらず、FSBを上げるとチップセットまでがオーバークロックされてしまうため、安定志向オーバークロックファン(?)は手を出しにくかった。しかし、FSB400とFSB533に対応している845Eであれば、FSB400からFSB533へのオーバークロックが安心して行えるというわけだ。

Pentium4 1.6Aと純正クーラー

 オーバクロックといえばバルクのCPUをロット指定で買うのが通っぽいが、Pentium4のバルクはあまり見かけない。リテール品にはこれまで以上に立派なクーラーが付いており、お買い得感が高いのも要因かもしれない。あまり事前勉強していなかったので、適当にリテール品を買ったらコスタリカ産だった。コスタリカ産の他にマレーシア産やフィリピン産もあるらしいが、産地による違いがどの程度あるのかはよくわからない。

やっぱり青いGIGABYTEのGA-8IEX

 各社から大量にリリースされた845Eチップセットのマザーボードの中から選んだのはGIGABYTEのGA-8IEXだ。マザーボードの高機能化が進む中、付加機能はLANとサウンドのみ。シンプルな分、値段が安くていいということもあるが、オーバークロックには余計なものがない方がいいだろう。しかし、グラフィック機能を持つ845Gチップセットを搭載したGA-8IGXとの価格差が1,000円しかないので、少し迷うところではある。

チップセット用クーラー
GA-8IEXP用空きパターン
CREATIVEのサウンドチップ
ICH4とDualBIOS

 メモリは先日Micronへの吸収がご破算になったHynix製のPC2100(DDR266) DDR SDRAM 256MB(CL2)を買った。今後のことを考えてPC2700(DDR333)やそれ以上のものにするのもいいかもしれないが、CLが通常2.5なので、これまた少し迷うところだ。

 オーバークロック目当てといっても、まずは定格のベースクロック100MHz(FSB400)で立ち上げて環境作りだ。815Eマザーで使っていたHDDをそのまま使ったので、WindowsXPはそのままでは立ち上がらず、再インストール(フォーマットなしの上書き)やアクティべーションで結構手間取ってしまった。ベースクロックを変更するにはBIOSで設定するか、Windows上で動くGIGABYTE謹製のオーバークロックツールEasyTuneを使うのだが、常用するならやはりBIOS設定だ。BIOSではベースクロック以外に、AGP/PCIクロック、メモリクロック、コア電圧の設定も可能だ。

 ベースクロックは1MHz単位で上げられるのだが、ここは一気に133MHz(FSB533)に上げ、CPUクロックを2.13GHzにした。当然、AGP/PCIクロックは66/33MHz、メモリクロックは266MHz、コア電圧は1.5Vのノーマル設定だ。適当にアプリケーションを走らせた後、いよいよスーパーπ104万桁へ。若干のコア電圧アップもやむなしと思っていたが、難なく標準の1.5Vでクリア。むしろコア電圧を下げたいぐらいだが、例によって規定値以下に設定できない仕様になっていた。続けて死のスーパーπ3355万桁にも挑戦してみたが、1時間33分40秒で無事完走した。ちなみにスーパーπ実行中のCPU温度は室温約20℃で最大62℃(マザー付属のSystem Information Viewerで計測)。intelのサイトによると1.6Aは66℃が限界となっているのであまりは余裕ないのだが、ノーマルの1.6GHzでも60℃まで上がるので、そう悪い状態ではなさそうだ。

冷静なコメントがドキドキ感を高めるintel純正ツール
Intel(R) Processor Frequency ID Utility

 各種設定でのベンチマーク結果は下記の通り。1.6GHzではメモリ設定を200MHz(DDR200)と266MHz(DDR266)の2パターンで測定してみた。また、参考として、これまで使っていたCeleron800A@1.06GHzも載せている。

ベンチマーク\CPU
Celeron 800A@1.06GHz
Pentium4 1.6A@1.6GHz (DDR200)
Pentium4 1.6A@1.6GHz (DDR266)
Pentium4 1.6A@2.13GHz (DDR266)
スーパーπ
104万桁
2:22
1:52
1:49
1:28
HDBENCH Ver.3.30
(Integer/Float)
48811
48627
40803
62004
40870
61995
53053
81046
10:37
7:11
7:02
5:39
GogoWinBench
(音響解析なし/あり)
70.70
17.64
116.03
27.52
116.58
27.54
154.73
36.40
OS:WindowsXP

 1.6GHzではHDBENCHの整数演算でクロックの低いCeleronに思いっきり負けているが、その他は妥当な線だろう。2.13GHzになるとCeleron800A@1.06GHzの倍近い値になっており、アップグレードした甲斐があったというものだ。また、僅かではあるが、DDR200とDDR266の差も出ている。この調子ならDDR333もそれなりに効果があるだろう。

 845シリーズは今後もリリースされるようなので、845"E"を定番と言ってしまうのは早計だが、今後のPentium4シリーズとCeleronシリーズの住み分けを考ると、当分使い道はありそうだ。

AGP2Xのカードに注意

2002/6/18

注意:レポート内容は事実に基づくものですが、当サイトはその内容について一切保証することはできません。

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実売:17,000円前後

関連リンク
CELERON SAGA
Episode IV "A New Core : Celeron533A"(2000/06/06)
Episode V "Coppermine Strikes Back : Celeron800(cD0)"(2001/09/12)

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