いまどきの自作PC事情2021(Ryzen編)

マイニングブームによるグラボの高騰に加え、世界的なチップ不足でその他パーツも微妙に値上げしているものがあったりして、今はPCを組むにはあまり時期がよくないが、どうしても組みたいという欲望に駆られてしまったのだから仕方ない。これは、なぜかこの時期に自作に挑んでしまった男の記録である。

Ryzen
Ryzen 5 5600X

パーツ選定

AMD Ryzen 5 5600X と SCYTHE 虎徹 MarkII

車はトヨタ、家電はパナソニック、スマホはドコモな私だが、intelのRocket Lakeが微妙そうだったので、AMDのRyzenにした。選んだのはコスパが魅力の5600X。第4世代Ryzen「Zen3」となる5000シリーズのRyzen5(ナンバリングがいろいろあってややこしい)である。一時入手困難であったが、今は落ち着いており、通常価格で購入できるようになっている。

5600XにはWraith Stealthという、しっかりした純正CPUクーラーが付属しているのだが、念のため、安くて冷えると評判の虎徹IIを用意した。

虎徹IIとWraith StealthとRyzen 5600X
虎徹IIとWraith StealthとRyzen 5600X

Crucial Ballistix DDR4-3600 & Crucial P5 M.2 SSD

メモリーとSSDはやっぱりMicron(Crucial)。第4世代Ryzen用の標準対応メモリはDDR4-3200だが、せっかくメモリクロック自由自在のAMDなので、ゲーミング&オーバークロック向けのBALLISTIXシリーズのDDR4-3600にしてみた。容量は予算の関係で8GBx2の16GB。

CrucialのM.2でNVMeなSSDはP1、P2、P5の3シリーズあるが、今回は性能も値段も少し高いP5の1TBモデルを選んだ。後からP2の1TBも追加した。

SSDとメモリ
Crucialの黒いシリーズ。見た目が強そう。

ASUS TUF GAMING B550M-PLUS

第4世代Ryzen向けチップセットは今ならX570かB550。ASUSのMicroATXで絞るとX570を載せたマザーボードはなく、B550を載せたTUF GAMINGシリーズとPRIMEシリーズの2択だった。購入時にあまり価格差がなかったこともあり、ヒートシンクがたくさん付いていて放熱してくれそうなTUF GAMINGの方にした。

TUF GAMING B550M-PLUS
黒っぽいASUS TUF GAMING B550M-PLUS。

CORSAIR RM750x

電源はいつもならSeasonicなのだが、昨今のわがままハイスペックグラボのスパイク電流問題(悪いのはグラボ側?)もあって、あえて高めな製品を買う必要もないと思い、コルセアの電源を選んだ。純正Seasonicならせいぜい550Wぐらいしか買えない金額で750Wモデルが買える。これならいつかミドルスペックのグラボが来ても問題ないはずだ。

CORSAIR RM750x
100%日本製の105℃コンデンサ使用でフルモジュラーのCORSAIR RM750x。
CORSAIR RM750x
ケーブル類を収納できるバックも付いてました。

その他

今回グラボについては、ミドルスペックすら高騰しすぎて手が届かないところに行ってしまったため、手持ちのSapphire NITRO+  RADEON RX590 AMD 50TH ANNIVERSARY EDITIONという金ぴかグラボを使った。世代が少し違うがAMD同士うまくやってくれることだろう。

RX590 AMD50週年モデルを乗せたところ
RX590 AMD50週年モデルを乗せたところ。
System Summary
HWiNFO64のSystem Summary。古いHDDやBDドライブも載ってます。

セットアップとベンチマーク

メモリクロック設定

TUF GAMING B550M-PLUSにCrucial Ballistix DDR4-3600を載せても、そのままではSPD情報の2666MHz(1333MHz 20-19-19-43 1.20V)になるので、3600MHzにするためにはBIOSの設定が必要。XMP情報と異なる細かい設定も可能だが、とりあえずXMP設定(1800MHz 16-18-18-38 1.35V)で走らせた。

Ai Overclock Tuner
BIOS > Advance Mode >Ai Tweaker画面のAi Overclock Tunerの項目で3600MHzに設定できる。

SPDの2666MHzとXMPの3600MHzをCinebenchとPCMarkで比較してみたところ、それなりのメモリクロック差にも関わらず、スコアにあまり差はみられなかった。設定を詰めれば違いが見えてくる可能性はあるが、いつか16GBx2などに増強する際には、素直にネイティブ3200MHzのメモリを購入すると思う。

Cinebench R23 Multicore
Cinebench R23のマルチコア。6コアにしてこのポジション。茶が2666MHzでオレンジが3600MHz。ほぼ誤差ですが逆転しています。
Cinebench R23 Singlecore
Cinebench R23のシングルコア。第11世代Core7に少し負けますが、マルチを見ると・・・。茶が2666MHzでオレンジが3600MHz。若干3600MHzの方が上だが、やはりほぼ誤差。
PCMark10
PCMark10では旧式GPUながら2666MHzでもTOP4%に。
PCMark10
3600MHzにするとスコアが100ほどアップ。ちょっと気持ちいいけど体感的にはわからないかも。

ついでに、懐かしのSuperπを走らせてみた。104万桁で7秒。13万桁までは1秒未満のため、未計算と表示されてしまう。

super pai Ryzen 5600X
Pentium4の頃は104万桁で1分以上かかってました。

CPU温度

気になるCPUの温度だが、HWiNFO64でCinebench走行時のCPU使用率(Core Usages)とCPU温度(CPU Die (average))の推移を見たところ、CPU使用率とCPU温度がきれいに連動しており、フルパワーで走行し続けても、76℃程度を維持している。虎徹IIにより、熱が蓄積することなく放熱できていることがわかる。

Cinebench温度推移
虎徹IIがんばってます。

3DMark - CPU Profile(2021/6/26追記)

主にグラボの性能を測定する3DMarkにCPUだけを測定する「CPU Profile」が新たに加わったので、早速測定してみた。スレッド数単位に測定しているところが新しい。スレッド数に関わらず、最大4600MHz、70℃程度となっている。

CPU Profile
黒いマーカーが同じCPUの平均スコア。
CPU Profile
Maxスレッドから1スレッドまで降順に測定しています。

M.2ソケット

TUF GAMING B550M-PLUSにはM.2ソケットが2つあるが、ソケット1が理論値最大5GB/sのGen4、ソケット2が理論値最大4GB/sのGen3になっている。今回購入したM.2 SSDはいずれもGen3のため、どちらに挿しても問題ないと思っていたのだが、公称値最大3400MB/sのP5ではソケットによって明らかな違いがあった。ちなみに公称値最大2400MB/sのP2ではどちらに挿しても違いは見られなかった。M.2の実効速度の関係と思われるが、3000MB/s以上のSSDについてはGen4のソケット1に挿した方がよさそうだ。

TUF GAMING B550M-PLUSのM.2スロット
TUF GAMING B550M-PLUSのM.2ソケット
ソケット1のP5 ソケット2のP5
ソケット1のP5 ソケット2のP5
ソケット1のP2 ソケット2のP2
ソケット1のP2 ソケット2のP2

Momentum Cache

CrucialのSSD用管理ソフトStorage ExecutiveにはMomentum CacheというメインメモリをSSDのキャッシュとして使う高速化機能がある。Micron製nvmeドライバでないと動かないようなのだが、自動ではインストールされないので、本家のサイトからダウンロードしてインストールした。(ユーザ登録要)

Micronのドライバ
Micronのドライバを入れました。
Storage Executive
Momentum Cacheを有効にできます。
ソケット1のP5でキャッシュ有効 ソケット2のP5でキャッシュ有効
ソケット1のP5でキャッシュ有効。ブートドライブで使うことを推奨されているが、ブートドライブでなくてもすごい数値が出た。 ソケット2のP5でキャッシュ有効。よくわからない数字が出た。

M.2 SSD用ヒートシンク

CrystalDiskMark走行中にふとCrystalDiskInfoを見てみると、ソケット1に挿したP5が70℃の赤表示になっていた。TUF GAMING B550M-PLUSのソケット2には標準でヒートシンクが付属しているのだが、ソケット1には付属していない。専用のネジ穴がないため、ソケット2用のヒートシンクをソケット1に付けることもできない。

CrystalDiskInfo
初めて見たCrystalDiskInfoの赤表示。

そこで慌ててAmazonでM.2 SSD用ヒートシンクを探すこととなった。ヒートシンクはクリップやゴムバンド的なもので止めるタイプなどがあるが、途中でポロっと取れると怖いので、しっかり塗装がしてあって、横をねじで止めるタイプにした。ただし、少し背があるため、隣のPCIex1を諦める必要がある。

M.2 SSD用ヒートシンク M.2 SSD用ヒートシンク
横ねじタイプ シリコンサーマルパッドでSSDを挟みます。

CrystalDiskMark走行時のSSDの温度をHWiNFO64で測定してみたところ、ヒートシンクを付けると10℃以上温度が下がって、ひと安心。ついでにMomentum Cacheの有無も含めて比較したところ、キャッシュ化によりSSDへのアクセスが減少しているのか、ほとんど温度が上がらなかった。温度の面からもキャッシュ化は有効そうである。

CrystalDiskMark温度推移
ヒートシンクもキャッシュも効果あり。

おまけ:起動ロゴ

特に不満のない構成なのだが、唯一気になるのがTUF GAMINGの起動ロゴ。ASUSおなじみのBIOSアップデートソフトEZ Updateを使えば、BIOSファイルにロゴイメージを埋め込む感じで起動ロゴを変更できる。ちなみに、BIOS設定画面で起動ロゴを無効にすれば、昔ながらのBIOS起動画面からのWindowsロゴに戻せる。

EZ Update
BIOSアップデートファイルは使用中のバージョンと同じでもOK。右下のMyLogoボタンを押せばJPGファイルを指定できる。
TUF GAMINGロゴ RYZEN & RADEONロゴ
ファンタジックなTUF GAMINGロゴ RYZEN & RADEONロゴに変えました。(いいのか?)
BIOS画面
BIOS設定画面で起動ロゴを無効化することも。
AMI Windows
伝統のAMI BIOS起動画面 Windowsロゴ

お会計

種別 製品名 価格目安(円)
CPU AMD Ryzen 5 5600X 39,000
CPU Cooler SCYTHE 虎徹 MarkII 3,900
Memory Crucial Ballistix DDR4-3600 8GBx2 12,000
SSD Crucial P5 CT1000P5SSD8 16,000
Crucial P2 CT1000P2SSD8 12,000
SSD Cooler M.2ヒートシンク (Amazon) 899
Mother Board ASUS TUF GAMING B550M-PLUS 16,500
Graphic Board Sapphire NITRO+ RADEON RX 590 8G GDDR5 -
Power Supply Corsair RM750x 13,000

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